2006年03月10日

心のお休みどころ

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玄米カレーランチセット  この窓辺でよく語り、本を読む

2006.3.10

 このレストランの窓辺で、ときどきくつろぐ。バックには品のいいジャズがいつもうすく流れている。玄米はふっくらたけているし、コーヒーはまろやかで冷めてもうまい。

 めったにないような、そんな店が厚木にある。そこのスタッフやお客とも話す。行くたびに新たに文庫から本を借りてくる、というより店主が出してくる。

 そこは精神障害者の共同作業所である。といっても作っているのは製品ではない。レストランやスペースという場を提供することで、機会や出会いを作り出しているのかもしれない。実際見たところは、明るくこじんまりした喫茶店なので、知らなければそのままお茶を飲んでおしまいにしても不思議はない場所だ。

 食べ物、飲み物は人を結びつけやすい。一緒に食べれば会話も生まれる。ここの素材は基本的に自然食品なので、ひとつひとつの産地や由来などをめぐって話がはずみやすい。食べ物、音楽、人、テーブル、窓枠に縁取られた景色、仕掛けがこれだけあれば、くつろいでゆったり話したり聴いたりする気になってくる。

 ぼくは知って間もないのに、数時間ぶっ続けで話していたことがある。それだけランチあとには客も少なくゆったりしている、静かなところだ。手伝いにも客にも、当事者の人たちがいる。オープンな話がごくふつうにできるとうれしい。

 ぼくが精神病院に入院していた20数年前に、こんな店が町にあってくれたらよかったのにと思う。少なくとも、外出時や退院後に、心の悩みを無条件に聴いてくれる仲間がいるような場所が存在したなら、ずいぶん気持ちが楽になったろう。

 ふだん病院の中だけで、精神障害を持つ人たちに関わっていると、社会と彼らとのつながりがなかなか見えてこなくて悩む。病院が病気の治療の場所ではなく、住居、悪くいえば収容所化している点では、20数年前と事態はたいして変わらない。

 去年暮れには調布の不思議なレストラン"クッキングハウス"へ行った。今年になって電車でわずか12分の町に、町の中で活動しはじめている人たちの拠点を見つけた。患者さんもぼくも、病院から社会へと出ていくときである。



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